マルティプルチョイスの弊害

エッセイ

大学生たち約30名と話す機会があった。「君たちはマルティプルチョイスの問題で鍛えられてきた。それによる思考への悪影響は大きかった。解答に至る手段は選択だったが、社会に出たら選択肢のない状態におかれる。答えのない問題にいかに立ち向かうか?」
学生たちは理解できない様子だったので具体的に伝えた。
たとえば、会社に正職員として採用された。ある時、会社全体が不正会計しているとわかった。クビを覚悟で内部告発するか? 彼女と婚約した。しかし、最近自分の体調が悪いので、病院で検査をうけたら癌だった。彼女にいかに事実を伝えるべきか? 友人が自殺した。彼はこの社会は生きるに値しないと打ち明けていた。彼の悲しみは大きかったが、それでも彼に「生きろ!」となぜ言えなかったのか?・・・等など。
「学生中はネジリハチマキで奮闘すれば正解に至る。相応の努力次第で解答に至る。選択肢が与えられているような世界で大袈裟に苦しまないでほしい。いくら努力しても正解を見つけられない世界がある。答えのない問題にいかに立ち向かうか?そこで君達の真価が問われる。」

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