もう30年も前になります。思い出すと辛い病院での外来での一場面。
若い女性が、手足のしびれや違和感を訴えて私の外来に受診されました。神経疾患はほとんど高齢者です。若い患者の場合、何か特別な原因があることが多いです。私は詳細なヒアリング、入念な診察をしました。手足の感覚異常、反射異常など—。30分ほどして、患者の背後にいた看護師が「早くして。廊下に多勢の患者が待ってます」という合図をしてくれました。私は「まだまだ!全然わからない」と無視。さらに15分は費やしました。さすが私も、これ以上はマズイ,他の患者に迷惑になる!と焦ってきました。検査などの予約して次の患者の診察に移りました。その方は90歳のおばあちゃんでした。焦っていたのでアッという間に終わりました。全ての診察が終了後、看護師から叱られました、「先生はひどすぎます。若い女性には時間をかけ、年寄りはアッサリ。」ああ、人生っていうのは、難しいね、今、振り返ってみると確かに90歳の方の診察は「いつもと同じね。はいお薬。」と簡単だった。しかし、何か原因があるに違いないと「純粋な医学者」を、看護師は、若い女性の足を舐めるように触りまくった色気狂い爺と思われたに違いありません。私は先輩医師に相談しました、看護師に対して誤解を解くべきか否かと。先輩曰く、「看護師の指摘はともかく、何らかのバイアスが働いたね。胸に手を置いて!何か医学以外の何かが作用しなかったと断定できますか?」
ああ、笑い話じゃなくなったね。
笑い話 (7) 神経内科外来 若い女性の診察
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