2022-11

エッセイ

アダムがエバをもう一度許す時

人間の歴史を振り返ると、そこには戦争、憎しみ、死、略奪など、あらゆる悪が大河のように流れている。もし、この流れを遡上して、はじめの悪の一滴にたどり着けるとするなら、私はそれはきっと「アダムとイブ」が犯した罪であろうと思う。 アダムとイブが...
エッセイ

心から病気になりたがっている人たち

この社会には心から病気になりたがっている人たちがいる。仮病ではなく、病気のほうがなんとなく、居心地がいいのでそこに留まりたいと願っている方達だ。 こころから回復したいと願いながら、本心ではそうは思っていない。 これが患者を診察する医師の診察...
エッセイ

女のドラマ

シューマン作曲の「女の愛と生涯」を聞いた。乙女、恋愛、結婚、出産、夫の死、そして老い。人生の流れを歌い上げている。 人生の起承転結をたどるドラマの主人公は、ほとんどが女性だ。なぜ女性なのか、考えてみた。 男性は掘削機のごとく切り開く。そんな...
エッセイ

私達が難問にぶつかると

私達が難問にぶつかると、とるべき対策は3つあると思う。全力で立ちむかう。適当に対応する。そして、三つめは、問題の存在を認知しないことだ。 思えば私達は、この三つめの方法を頻繁に使用している。たとえば私達が長い人生を歩んできて失敗も後悔も山の...
エッセイ

日本国憲法13条

日本国憲法13条、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」ここを読みながら、感動したり、時には慰められたりしている...
エッセイ

女性達、とくに母親は疲れてはいけない

パーソナルコンピューター(PC)の解説書によると、部品で最も重要なものは、基盤(マザーボード)らしい。中央処理装置(CPU)こそ重要だと思っていた私にとっては意外だった。たしかに、基盤は各部品を連携させて、そのPCに固有の機能と個性を与えて...
エッセイ

狸の忘年会

子供たちはまことに親を楽しませてくれました。長女の礼子が9歳のころでした。私にこのように問いかけてきました。「お父さんは、狸が人間にかわったところをみたことある?」と。なんとまあ、子供らしい面白いことを聞いてくるなあと受け止めつつ、大きくな...
エッセイ

認知症の裏にある貧しい人間関係

認知症患者が夜、「誰かいる、怖い」と叫んだり、「物がなくなった、あの人が盗んだ」と言って、介護者を困らせることがある。 日常生活上の誰もができることができなくなったとの指摘に、「そんなことはない」と強く拒否する。 高齢で認知機能が低下するか...
エッセイ

身につけたい 「患者」の作法

長年、多くの患者に接してきて、患者が身につけておくべき作法があるのでと思ってきた。そして私自身が死にかける大病を患って、益々その認識を強くした。厳しい内容になるが、率直な意見を述べておきたい。 「患者」の作法① 自分が死にゆく状態であっても...
エッセイ

拝啓 若い医師達

今、我が国では救急外来が疲弊していることは、諸君が聞き及んでいるところであります。しっかり、現状ではしたくてもできないという苛立ちや医師としての責任をはたせていないジレンマにおありでは・・と思う一方、優秀であるがために、辛い現場で自らが傷つ...
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