不確かさの中で真摯に生きる

エッセイ

ある薬の有効性を立証するには、統計という手法を用いる。しかし研究チームの医師達が、その解析を製薬メーカー側の専門家に丸投げしたことが問題になった。
19世紀のイギリスの首相ディズレーリは言った、「世の中には3種類の嘘がある。嘘、大嘘、そして統計だ。」
統計とは、不確かさを好む人間の象徴に思える。
たとえば、選挙の時、真に国民を代表する人か否か、詳細な判定基準を設けたとしよう。すると誰ひとり、そのハードルを越えらず、立候補できなくなる。社長にも大臣にも、そのような基準はない。
正しさや確実さから目を遠ざけなければ、明日を生きられないのかもしれない。私達はただ願う、「今度の政権は、しっかりやってくれるだろう。」たとえ嘘でも、その不確かな期待だけで、前に進める。
もしこんな私達がすることに価値を見出すとするなら、どうすればいいのだろうか。
多分、嘘だとわかった後の、間違った判断であったと認識した後の、私達の真摯な対応ではないだろうか。人間の現実がえぐり出されるだろうが、受けとめる勇気をほしい。

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