我々の行き先なき旅

エッセイ

世の中には、さまざまな問いがある。ゴーギャンの絵画で有名な「我々はどこから来たのか。 我々は何者か。 我々はどこへ行くのか。」この問いは特別だと思う。
社会は、私達に対して「その問いは無視しろ」と命じてくる。
学生が先生にこれを問いかけたら、「まず、やるべき勉強をやってから考えたら」と言われるだろう。サラリーマンの場合、上司から「そんなこと考える暇があったら働け」と注意される。
今の社会が私達からこの問いを遠ざける理由は、もし私達が真剣にこれに取り組むと、立ち止まってしまうからだろう。生産性や成果が問われる現代社会にとって、この思考は天敵かもしれない。
旅行では、目的地・交通手段同伴者・宿泊先など、さまざまな要素がある。今の社会は、目的地を無視した大量輸送と大量宿泊だけを考えているような気がする。目的地にこだわる者にとっては、立ち尽くししかない。
おそらく、登校拒否や引きこもりの方々は、彼らの特有の感性が、将来立ち行かないこの社会を察知し、戸惑っているのかもしれない。彼らとともに、我々はどこへ行くのか考えたい。

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