たかが腕時計、されど

エッセイ

30年愛用した腕時計が故障した。買い換えることにしたが、よく考えると、時間といかに向き合うのか、奥深いもののような気がした。
時計に期待するものは、第一に機能。正確な時をきざんでほしい。その他には、耐久性、使いやすさ、デザイン、リーズナブルな値段。
最近の時計は、デジタル化によって付加機能が多い。アラーム、ストップウオッチだけでなく、光発電や外気温と装着者の体温の差によって駆動させるもの、標準電波を受信して、ほとんど誤差のない電波時計など実にさまざだ。
そこで、考えさせられた、「何が決めてか?」それはやはり、自分らしさかなと思った。
情報の洪水の現代、自分自身を失いやすい。あらゆるものに影響されないで、自分の時間を刻んでほしいと願う。
そう考えると、電波もソーラーも除外しなければならない。異常な磁気や電波障害、異常気象など等、さまざまのものが原因で容易に狂ってしまう。
結局、旧式の手巻きのゼンマイ時計に決めた。2-3日に1回は手動でねじを回さなければならないが、 でも多少の誤差は構わない。自分らしく、何ものにも影響されないで、それだけで時間を刻んでほしい。そう願った。

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