宗教的理解ほしい医療現場

エッセイ

アカデミー賞を獲得した映画「ドライブマイカー」を観た。そして、題材となったチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を読んでみた。主人公の「(生きるって)なんて辛いんだろう」の言葉に考えさせられた。
これへの応答には数々あろうが、一例を私達はこの映画の中でみた。クリスチャンだけでなく、キリスト教的人生観に同意する者には、ソーニャの返答は感動的であり、「辛くても最期まで、しっかり生きていこう」と思ったにちがいない。
我が国では、オーム真理教や旧統一教会などが関係する問題のため、とかく宗教は疎んじられ、教育現場で取り上げられることはまずない。
このため、わが国での医学教育、特に緩和ケアや終末期医療において、人間をみることにある重大な欠落を生じていると思う。たとえば、患者は身体的・心理的・社会的・スピリチュアルケアの4大柱によって支えられると指導されながら、スピリチュアルケアについて詳細な指導はない。
「なぜ、こんな難病にかからなければいけないのか」、「なぜこれほどまで苦しまなければいけないのか」などのスピリチュアルな問いが無視され続けるなら、我が国の医学は世界のなかで貧弱なものとなっていくだろう。

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