老境にあって見出す幸せ

エッセイ

19世紀のドイツの詩人アイフェンドルフは、老夫婦を美しく詠った。
間もなく、眠りの時がくる
こちらにおいでこの孤独の中で
私たちがはぐれてしまわないように  *
しかし、寿命が延び認知症になる老人が増えた現代をみて、彼はどのように老境をみるのだろうか。
アルツハイマー病になった妻に、私ならこう表現しようと思う。
子供のようになっていく妻よ
私を親と思っているのだろうか
私の姿が見えなくなって泣き出したり
見つけると、しがみ付いてくる
私は今になって、ようやくおまえを
幸せに包んであげられるようになった
人生で最も幸せだった子供の頃にいるのだから
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*この詩にR・シュトラウスが曲をつけています。詩より、この曲の方が有名。「4つの最後の歌」の第4曲目にある歌詞です。訳はいろいろあり、微妙に異なるが、私はこれを採用しました。彼のどの詩集から引用したかは、調べた限り不明。

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