庭刈り込みロシヤを思う

エッセイ

キャロライン・ジャスミン様 貴女が我が家の中庭に来られたのは20年前のことでした。注文したバラの木に、しがみつくようにして、黄色い花を咲かせ、まことに華憐な乙女のようでした。
その後、貴女は大きく成長し、今やこの中庭の主。まるでやり手女将のようです。
私は今まで貴女を見つめてきて、最近、この中庭の本来の在り方から外れているように思い始めました。そして今春、貴女に対して大胆な刈り込みをすることに決めました。
私が願うのは、さまざまな木々が各々の美しさを季節ごとに披露することです。ある特定の木が大きくなりすぎることは、他の木々の存在を脅かすことになります。
このことはあなたにとって受け入れ難いことでしょうが、庭の所有者が、庭全体の在り方を考慮して決定したことであり、御了解いただきたい。
転じて私はウクライナを思っています。大国の思惑で、核戦争の可能性がゼロでないこと自体が、他の国々にとって脅威です。この地球に家長のような刈り込みをする存在はないのでしょうか。SDGsを求めて世界中の若者達が結集したら、そういう力になるのではと思いました。敬具

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