熾烈な人生をエレガントに生きる

エッセイ

エレガントとは、いろいろな意味があるが、ここでは「単なる装いでなく、根拠のある気品をもつ」という意味です。ALSや、事故、ガン、天災・・など、この世界には様々な辛い体験がありますが、その中でなおエレガントに過ごせるなら、それこそ「幸せ!」に違いありません。今回、フィジカルな方法のみならず、メンタルな側面から、私達の生き方を考えてみました。
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人生をエレガントに生きる9つの作法
1  悲しみの人になる
2  人生は舞台。ALSを演技する。
たとえ癌の末期にあり死にかける状態でも自分に対しては厳しく。
3  病気がいくら進行しても 自分のことより 家族を思いやろう
4  病院に 居心地の良さを 期待しない
5  病院を責めたい時 、クレームを言うのでなく 依頼の形にしよう
6  リビングウイル事前指定指示書は自分からすすんで作成しよう
7  医師には 適切な診断と治療以外 期待してはいけない
8  医師の説明を理解し 常々家族に 自分の意思を 伝えておこう
9  体が病んで心まで萎えてきた時 自らの生き方が 問われていると
自覚しよう
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これらの中で、悲しみについて凡そ半分の時間をかけて説明しました。悲しみや心の痛みを訴えると、それを排除しなければならないと思う医師が多いです。しかし、どうにもならない現実に直面し、じっと耐えるしかない、その他になす術がない・・・ここで、多くの医療関係者は逃げだすのではないでしょうか。しかし、ここにこそ、私達にエレガントさを身に着ける理由、根拠があると考えます。柳田邦男 は「悲しみの感情や涙は心を耕し、他者への理解を深め・・・」、さらに「悲しみは、教育現場で見なおされなければならない。悲しみの復権を」と著わしています。綱島梁川は 、「神はまづ悲哀の姿して我らに来る・・・悲哀はそのもの既に 恩寵なり 。」
癒すことのできない悲しみにある患者さんの前で、私達は慰めの言葉をかけられないかもしれないが、悲しむことの深い意味を理解できれば、少なくとも傍らにたたずむことができるようになるでしょう。また、その深い意味の理解が共感という形で患者さんに伝わるなら、ALSと告知しても私達医療関係者にとって、その後共に患者さんと歩む支えになるのではないでしょうか。

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