過去の投稿

エッセイ

語らい深める能舞台に感銘

2001年、ユネスコは日本の能を「人類の無形遺産の傑作」に指定した。能を知らないた私には、なぜ傑作なのかわからなかったが、女流能楽師の謡う「砧(きぬた)」を聞く機会があり、納得した。 世阿弥によるこの能のあらすじは、ある夫が妻を残して出張し...
エッセイ

人生の問いに答える名演奏

「夜と霧」(ドイツ強制収容所の体験記録)の著者フランクルは言った、「人生に生きる意味を問うてはならない。人生が私達に問うている。」 生と死について考え悩む若者達にこの言葉を具体的に説明したかったが、今までできないできた。しかし、先日、インタ...
エッセイ

恩師への手紙

葛原先生、長い間のご指導をありがとうございました。私は大学に所属したことがありませんでしたが、松阪中央総合病院に勤務中、葛原先生を迎えての毎月の症例検討会はいつもズシッとした大きな収穫がありました。先生から受けたレッスンを振り返り、私からの...
エッセイ

リビングウイル記した責任

尊厳死 リビングウイル記した責任 尊厳死の宣言書であるリビングウイルを作成することは、自らの行く末を自己決定することであり、尊重されるべき判断だと私は考えている。しかし、臨死期において、これが必ず実施されるという保証はない。その理由には、...
エッセイ

千の風になって・・・多くの日本人の死生観を変えた歌

- 私のお墓の前で - 泣かないでください - そこに私はいません この歌詞で始まる「千の風になって」は、昨年のNHK紅白歌合戦で、テノール歌手の秋川雅史氏によって歌われ、大評判になった。多くの人達がこの曲によって、慰められたに違いない。 ...
エッセイ

自分感覚磨き認知症を予防

認知症の代表であるアルツハイマー病は、最近の研究では、 「自分自身の感覚」の中枢が、最もはじめに障害されるそうだ。確かにアルツハイマー病の患者さんは、病初期から本来の自分を失っていくように思う。 この「自分の感覚」を鍛えることが、計算ドリル...
エッセイ

女房の小言に夫達は敬意を

なぜ妻はしばしば夫に小言を言うのだろうか。これは世界中の夫婦に共通して存在する現象なのだと思う。このことを脳の構造上の男女差を考えていて、ひとつの理由に思いいたった。 脳は各部にそれぞれ役割がある。左右の脳を連絡する神経の束は、女性の方が太...
エッセイ

リビングウィル 親の甘さが害

治る見込みなく、意識ないままでも人工呼吸器で延命したい。このように言った人に、今まで出会ったことがない。すべての方々が、「家族に迷惑はかけたくない」、「そこまでして生きる必要はない」と率直に話してくれた。 この希望をかなえるには、リビングウ...
エッセイ

いずれ来る道 濡れ落ち葉

定年退職後に家でゴロゴロする夫を、疎ましく思う女房は少なくない。彼らは「濡れ落ち葉」のようだと評されたりするが、私は妻達が思うほど男達はみじめではないと思っている。 現役を退いた後の虚脱感は、大昔も今も変わらないだろう。男たちは外で働き、夕...
エッセイ

苦悩で神見たベートーヴェン

ベートーヴェンの第九を聴くシーズンになった。この曲を耳にするたびに、なぜ彼が自殺を考えるほど苦悩したのかと思う。 自らの才能に目覚めた若い頃、彼はきっとこのように祈ったと思う、「神よ、悩める人々に生きる希望を与える音楽を作れるよう導き給え」...
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