エッセイ 今の私からその時の私へ 力なくベッドに横たわり、残された日々が僅かと思われる患者さん達を、大勢診察してきました。そのたびに私の胸の内に示されるのは、「私にもいつか同じような時がくる」という確かな現実でした。 人生という旅路で、きっとその時、妻に言うと思います。「も... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 人の心にあるアウシュビッツ 読書の秋にふさわしい読み応えのある本に出会った。フランクル著の「夜と霧」だ。ドイツ強制収容所の体験記録という副題が示すように、アウシュビッツでの彼自身が経験した事実を記している。 ひとりの心理学者が生きながらえてあの地獄絵を記録しただけでな... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 乏しさの中で 生きる力養う 15歳の少年による親殺しがあった。「オヤジなんて殺したいほど嫌いだ。母さんは忙し過ぎて死にたいと言っている。辛くて見ていられない」。このように行き詰まっている高校生に対して、父親として何ができるか考えてみた。 いきなり荒療治ではあるが、息子... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 自分の最期の意志記す責任 総論より、各論から読んだ方が理解しやすいことがある。 思えば私達は「人間」という難解な書物を、自分という各論から学んでいる。時々、「これが人間なんだな」と、総論の一部を知らされる。しかし、ほとんどの時間は、自分という各論と格闘し、他人のもの... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 知りすぎても、知らなさ過ぎてもいけない 「転ばぬ先の杖」こそ、生きるうえで大切と考えてきた。そして多くの方々にもそうすすめてきた。 アルツハイマー病の患者さんの場合、私は御家族に今後、いかなる状況が繰り広げられるか、説明してきた。今後に想定される介護、専門医のいる病院さがし、介護... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 香りの効果で歴史生き生き 次のようなクイズをつくってみた。キリストの「最期の晩餐」のとき、部屋中にある香りが充満していた。それは何の香りか。 ヒント①キリストから発せられていた。ヒント②当時の埋葬につかわれた。 正解は、ナルドの香油。当時としては非常に高価であった。... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 冬の星空見上げ人の豊かさ思う モーツアルトは、死後、しばらく世間から忘れ去られた。その間、彼の楽譜や書簡は、すべて、妻のコンスタンツェが保管していた。世が忘れても、夫の業績を忘れず守ってくれた意味で、彼女の業績も高く評価されている。 しかし、この世界では、「コンスタンツ... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 冬のソナタのヨン様へ 拝啓 ヨン様 我が家の女性達は、今やあなたに夢中です。何が魅力なのかと問うたら、妻が優しさよと言いました。 男でありながら、汗臭さを感じさせないヨン様を心で「甘すぎる」と思い、年頃の娘達に、「いい男を見すぎてはいけない。現実を受け入れられ... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 痴呆症という解決 我々の多くは老いても、痴呆にはなりたくないと願っている。しかし、高齢で痴呆症のない方々と話をしていると、しばしば次のような言葉を聞く。 「生きる事に、ほとほと疲れました」、「この年になって、何のために生きねばならないのか」。 痴呆にならずに... 2019.08.18 エッセイ
エッセイ 不合格通知でよりたくましく 「サクラジマフンカゼズ」、「フグドクアタル」「ダイブツノメニナミダ」。これらは大学受験の不合格通知であるが、見方によっては合格通知より価値がある。 私もかつて東北のある大学から「ミチノクノナオユキフカシ」をいただいた。秋田美人の彼女を追って... 2019.08.18 エッセイ